<2025年5月更新>
発達障害(自閉症スペクトラム・ADHD)、グレーゾーンの子について、よく聞くのが「運動会が辛い・苦手」という話。

ダンスを踊らない。
苦手でうまく踊れない。

運動会の練習が辛いみたい…

運動会に参加したがらない。
嫌がるけど、休むのはダメ?
こんなお悩みをお持ちではありませんか?
この記事をお読みいただくと、
について知って頂くことができます。
お子さんに適切なサポートをしたり、上手に導いてあげることで、運動会を素敵な経験の場にしてあげられるといいですね。
この記事を書いている私さとは、ASD+ADHDを持つ男子学生の母で、ライターです。
私立中高一貫校に通う息子は、まさに運動会が苦手なタイプ。
幼稚園や小学校と連携を取りながら、毎年運動会を乗り越えました。
今でも体育祭は「だるい。」と言いながら参加しています(笑)。
<関連記事>発達障害の特性に合った習い事について

●「運動会に参加できない・踊らない・辛い」理由
理由1【発達性協調運動障害】
コロナの影響で、組体操を行う学校は随分減ってきました。
一方でダンスは体育のカリキュラムに組み込まれていることもあり、運動会で取り入れる学校・園が増えました。どこの小学校・園でも「運動会の定番と言えばダンス」になりつつあります。
発達障害を持つお子さん全員ではありませんが、
- お手本を見ても、どのように体を動かしているのかわからない
- 動きがぎこちなくて、同級生にからかわれる
- 「ふざけている」「やる気がない」と先生に叱られる
ダンスの練習をしていて、このような辛い経験をしたお子さんもいるかと思います。
この原因として考えられるのが、発達性協調運動障害です。
発達性運動強調障害は、手先の不器用さや運動技能の弱さなどが特徴とされる発達障害の一種です。
ASDやADHD、LD等の発達障害には、発達性強調運動障害を合併する子が多いと言われています。
発達性協調運動障害を持つ子は、不器用さや運動技能のつたなさが早期から極端に現れるのが特徴です。
不器用や運動音痴に該当する人はたくさんいますが、「極端で」「日常生活に支障をきたしている」ような場合には、この障害に該当ことがあります。
該当するかの判断には専門医の診断が必要ですが、具体例を挙げてみます。
※これらの例に該当しても発達性運動強調障害にはあたらない場合も多いので、目安程度にご覧ください。判断には医師による診断が必要です。
また、靴ひもや箸、逆上がり、自転車などはできるようになる時期に個人差があります。単に時期が遅いからと言ってこの障害に該当するわけではないことも付け加えておきます。
理由2【集団行動が苦手】
発達特性のあるお子さんの中には、根本的に集団行動が苦手な子も多くいます。
- 「みんなに合わせる」とは、どういう行動なのかわかりにくい
- そもそも集団行動をとる必要性を感じない
- 感情コントロールが苦手、衝動性が高いなど周りと同じペースで動けない
という子もいます。
理由3【やる事がわかりにくい】
発達障害を持つ子の中で、目から入ってくる情報を受け取るのが得意なタイプの子は、
- 耳で聞いた説明は頭の中にとどまりにくい
- 情報を目で見ることができると理解しやすく、安心する
という特徴があります。
運動会の練習では、教室での日常的な活動とは全く異なる慣れない活動について、口頭で説明されるため、理解しにくく、イメージを持ちにくい場合があります。
理由4【見通しが立たない】
「見通しが立たない」不安が生ずるのは、
- 運動会当日
- 練習を始めて間もない頃
ASDの中には「想像力の乏しさ」を特性として持つ人がおり、ASDの子供は経験したことのない状況や場所に置かれると、これから何が起こるのかがわからず不安になり、混乱してしまうことがあります。
これは、発達障害を持たない人にはわかりにくいのですが、この特性を持つ人には大きな負担なのだそうです。
次に何が起こるのかわからず不安になって、何かにこだわったり、活動を嫌がったりします。
このように次に起こることがわからない状態を「見通しが立たない」と表現します。
ASDのもう一つの特性である「こだわり行動」も、同じ行動を繰り返すと見通しを持てて安心する、という心理状態によって行われると考えられています。
運動会当日や練習しはじめの頃、
- 活動を頑なに拒否する
- 些細なことで怒ったり、感情のコントロールが難しくなる
- 運動会とは関係ないことを頑なにやろうとする
このような様子が見られたときは、お子さんは見通しが立たず、不安で困っているのかもしれません。
理由5【感覚過敏】
運動会では、視覚・聴覚・触覚などから様々な強い刺激を受けるので、感覚過敏の人にとっては辛い状況になる場合があります。
「感覚過敏」とは、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚などの感覚が過敏で、日常生活に困難を抱える状態のことを言います。
感覚過敏のない人には理解することがとても難しく、「神経質だ」「大げさ」と取られたり、そもそも苦しんでいる状況に気づいてもらえなかったりするので、感覚過敏を持つ子は我慢を強いられ、辛い思いをすることが多くあります。
例えば聴覚過敏の人にとって運動会では、
- 周囲の応援の声
- スピーカーから流れる音楽やアナウンス
- 徒競走のピストルの音
などが強い刺激となり、不安や精神的な苦痛を感じたり、頭痛や吐き気など体調が悪くなったりする場合があります。
●「運動会に参加できない・踊らない・辛い」場合のサポート法
<後編>に続きます。
●どうしても運動会に参加するのが嫌な場合、欠席はアリ?
<後編>をご覧ください
前編はここまで。
後編では、運動会が苦手なお子さんの具体的サポート法と、運動会に参加したがらない場合の対処のポイントについてご紹介します。
続きは、こちら↓↓↓の<後編>を是非ご覧くださいね。

お読みいただき、ありがとうございました。
<関連記事>発達障害を持つ子の特性に合った勉強法について
