<2025年7月更新>
発達障害(ADHD・自閉症スペクトラム)やグレーゾーンのお子さんの
中学受験における【学校選び】についてのお悩み…

中学受験をさせたいけど、どんな学校を選べばいいんだろう。

学校を選ぶ際に気を付けるポイントは?
こんな疑問をお持ちの方はいらっしゃいませんか?
この記事では、発達障害を持つ子どもの中学受験に向けて
- 学校選びで親がチェックすべきポイント
- 特性に合った学校のタイプとは?
について、体験をもとにご紹介します。
ASD+ADHDの特性を持つ男子高生の母で、兼業ライターです。
息子は中学受験をして、現在、私立中高一貫校に元気に通っています。
私自身も中学受験経験者。元家庭教師、塾講師です。
息子の中学受験では、発達障害の子に合った学校の情報がなかなか得られず苦労した経験から、保護者の方の役に立つ情報発信を目指しています。
<関連記事>発達障害の特性に合った塾選び・受験スタイル

学校選びのポイント
発達障害、グレーゾーンの子供たちは、どちらかというと得意・不得意がはっきりしていて、「なんでも平均的にできる」というタイプは少ないですね。
中学受験はそんな凸凹のある子供たちにとって、様々な特色を持つ教育環境・教育方針の学校の中から、特性に合った中学校を選択できるという点が大きなメリットと言えるでしょう。
学校を選ぶ際には、どんなことに気を付けて選んでいけばいいのでしょうか。
1. 子供の特性を整理する視点
これまでのお子さんの様子をご覧になって、
- 興味のあること、得意なこと
- 学校で困っていること、サポートが必要なこと
- お子さんの好きなタイプのお友達
- これまでうまくいった環境はどのような特徴があったか
について、改めて整理してみましょう。
まずはお子さんに合った教育環境を考え、それに近い中学校を探してみることで、お子さんの特性に合う学校を見つけやすくなります。
1-1.好きなこと・得意なことを洗い出す
例えば…
得意なこと、好きなことを思い切りできる環境があれば、学校に通うことが楽しくなりそうですね。
高校受験のない中高一貫校に入ることができたら、その中でお子さんが思い切りやっていみたいことは、いったい何でしょうか?
1-2.苦手なこと・支援が必要なことを明確に
今、学校でお子さんが困っていることは何でしょうか?
サポートが必要なことはありますか?
中学校入学後、個別にサポートをお願いすることで、対応してもらえる場合もありますが、はじめから子供が困りにくい環境を選ぶという考え方もあります。
例えば、「プリントをすぐになくす」「提出物が出せない」ということであれば、配布物や提出物をロイロノートやGoogleClassroomで行える学校、または先生の指導が手厚い、面倒見のよい学校を検討してみるのも良いですね。
水泳がどうしても苦手というお子さんには、私立中高一貫校では、プールのない学校もあります。
プールがないというだけでも、夏季の通学が精神的に楽になるかもしれません。
ただ、子供はどんどん成長するので、現在困っていることでも、学年が上がるごとに解消していく場合もあります。
反対に、中学生になると環境が変わって、今とは違うことで困ることが出てくる可能性もあります。
児童精神科医の先生や心理士さん、信頼できる療育の先生が身近にいらっしゃれば、
「うちの子のようなタイプは、中学生になって、どんなことにつまずきそうですか?」
と質問してみるのも良いと思います。
入学後の個別サポートについては、こちらの記事もご覧ください。

1-3.相性の良い友達の特徴を整理
中学受験をすると、大体同じくらいの学力レベルの子が同じ学校に入学します。
中学受験をしない場合より、自分と似たタイプの子に出会える可能性が高くなります。
難関校では、生徒の精神的年齢が比較的高く、それぞれの個性を尊重するタイプの子が多い傾向にあります。
お子さんが気の合うタイプのお友達はどのような子でしょうか?
1-4.過去に合っていた環境を参考にする
これまで、比較的順調に活動ができた環境について整理してみてください。
など、お子さんに合っていた環境について、何が良かったのか考えてみてください。
やりたいこと、勉強の環境、同級生のタイプなど、うまくいきそうな中学校の条件が見えてくるのではないでしょうか。
2. 発達特性に合った学校タイプを知る
私立中高一貫校の中で、発達障害のある子どもを積極的に受け入れている学校は、まだ限られています。
それでも、そうした学校に限らず、「わが子の特性に合う環境」を選ぶことで、安心して学校生活を送ることが可能です。
ここでは、発達特性ごとに相性が良いとされる学校タイプを紹介します。
2-1. 書字が苦手・処理速度がゆっくりな子
→ ICT化が進んでいる学校
・紙に書くことが負担になりやすい子には、タブレット学習との相性が良い場合があります。
・提出やノート整理もデジタルで完結できるため、負担を減らせます。
2-2. 提出物の管理が苦手な子
→ ICTが整備された学校
・アプリ上で提出状況や期限を確認できるので、子どもも保護者も管理しやすくなります。
→ 面倒見の良い学校
・提出物の一覧表を配布し、未提出の際は丁寧に声かけをしてくれる学校もあります。
2-3. スケジュール管理や自主学習が苦手な子
→ 学習サポートが充実した学校
・テスト前の計画立てを一緒に行ってくれたり、自習スペースを提供してくれるなど、学習面での伴走体制があります。
2-4. 空気が読めない・集団が苦手な子
→ 個性を尊重する校風の学校
・「そういう子もいるよね」と自然に受け入れられる雰囲気があります。
・「多様性」や「個性の尊重」を掲げる校風は、偏差値の高い学校に比較的多くみられます。
2-5. 得意分野が突出していて、普通の授業では退屈な子
→ 学力レベルの高い進学校
・授業レベルが高く、刺激のある学習環境が得られます。
・英検上位級や数学オリンピック出場者など、似た特性を持つ同級生と出会えることも。
✨ その他にも…
・対話型の授業
・実験や体験を重視した授業
など、私立中高一貫校にはさまざまな学びのスタイルがあります。
3. 学校選びに必要な情報を集める
地域の中高一貫校の情報を集めます。
HPや受験雑誌や掲示板にも色々と情報はありますし、在校生の保護者から聞くという手もあります。
ただ、発達凸凹のない子と特性のある子では、必要な情報が違うことも…。
発達特性のある子のための情報は、どうやって集めるのが良いのでしょうか。
3-1.医師や療育関係者から地域の学校情報を聞く
こんなとき、意外とおすすめなのは、児童精神科医の先生や、ベテランの療育の先生に相談してみること。
色々な凸凹さん達を長く担当してきて、どのような特性の子がどこの私立中学校に行き、どのように学校生活を送っていて…というデータを持っている専門家が結構います。
「この子に似た子が、そこの学校に行っていて…。」という話が聞けたら、ラッキーですね。
3-2.塾講師から得られるリアルな評判
長年、地元で受験指導をしているような塾の先生ならば、相当多く特性のある子の指導をしているはずです。
塾の先生は、塾生の中学入学後の様子についても結構よく知っているので、色々な情報を得ることができます。
発達障害を持つ子に合う塾・経験のある塾講師の見つけ方はこちらの記事をどうぞ↓

3-3.学校見学・説明会は早めに参加する
中学受験の勉強を自発的に続けていくためには、自分で「この学校に何としても合格したい。」と思えることが大切です。
そのために効果があるのは、学校見学にいくこと。
発達特性のあるお子さんは特に、早めに学校見学をすることをおすすめします。
イメージする力の弱いお子さんが多く、学校を見学するまでは中学校生活について具体的にイメージしにくいので、合格に対するモチベーションがあがりにくいためです。
早めに上級生の学校生活の様子や授業・部活の様子を見て、「この学校に行きたい」というイメージが持てると、やる気が出やすいですよ。
3-4.出願書類・受験科目を確認する
受験を検討している学校の受験科目・出願に必要な書類はどのようになっているでしょうか?
- 国・算・理・社の4科目?
- 通知表や調査書は必要か?
- 作文や面接があるか?
- 適性検査はあるか?
- 専願枠などがあるか?
- 英検など加点事項はあるか?
非常に苦手なことが含まれる場合、その学校は回避して、得意なことで受験できる学校を探すという考え方もあります。
また、志望校間の科目が異なる場合、取り組まなければならない事柄が多くなるので、事前によく検討する必要がありそうです。
例えば、
- 第1志望は4科目受験
- 第2志望は2科目受験と適性試験
- 第3志望は2科目受験と作文・面接
という場合、4科目の勉強に加えて、適性試験の勉強と作文・面接対策が必要になります。
適性試験や作文・面接が得意、という場合はそのままで良いのですが、苦手で学習時間がかかりそうな場合は、志望校の優先順位を考えて、①受験校を変える、②作文や面接は最低限の勉強で…と割り切る、など工夫が必要です。
3-5.通知表(調査書)の扱いと評価基準を知る
発達特性を持つお子さんは、学力のわりに通知表の評価があまり良くないという場合があります。
忘れ物が多い、授業態度で低い評価がついてしまうなど、通知表(調査票)を出願の際の書類として提出する学校では、不利になるのではないかと心配な方がいらっしゃるかもしれません。
通知表や調査票は、それぞれの学校によって考慮する点や考慮する度合いが違います。
提出が必要な学校であっても、「欠席数」や「所見」以外はほとんど考慮しないという学校も多いそうです。
心配な場合には、学校説明会などで調査書がどの程度考慮されるのか質問してみましょう。
3-6.支援級からの受験は通知表の扱いに注意
支援級在籍の場合、通知表は言葉での評価になるので、通常学級と同じような段階別評価ではありません。
出願に通知表(調査書)の提出が必要な中学校を受験する場合、どうすればよいのでしょうか?
- 段階別評価がある通知表で評価しなおしてもらう
- 通常学級に転籍する
という方法が考えられると思います。
自治体によっては、通知表を段階別評価に評価しなおしてくれるところもあるそうなので、問い合わせてみましょう。
ただし、通常学級のカリキュラム・評価基準で評価しなおすので、お子さんの勉強内容・進度によっては、成績の内容が低く評価されてしまう場合があります。
そこで中学受験を見据えて高学年から、通常学級に転籍するお子さんも一定数いるようです。
その場合、中学受験の勉強に加えて、通常学級に転籍して学校での環境が大きくに変わるので、お子さんの負担が大きくなることに注意が必要です。
いかがでしたか?
この記事が、お子さんに合った学校を選ぶ際の参考になれば、とても嬉しいです。
中学受験についての記事は、他にもありますので是非ご覧ください。


最後までお読みいただきありがとうございました。