<2024年3月更新>
発達障害を持つ子の習い事選びは特有の悩みがある
子供の習い事選び、子供に凸凹が無くても親御さんは悩みます。
<凸凹とは関係ない習い事の悩み>
- 何を習うか?
- どこで習うか?(教室・先生)
- 親のサポートがどの程度必要?
- 費用
- やる気を維持する方法は?
- やめるタイミングは?
など、考えるポイントは色々ありますが、
お子さんに発達凸凹があると、さらに
<発達凸凹特有の習い事の悩み>
- 習い事と子供の特性が合っているか?
- 指導者に子供の特性に合った指導をしてもらえるか?
…といった特有の悩みもあって、習い事を選ぶハードルはさらに上がりますよね。
この記事を読んでいただけると、
について知って頂くことができます。
この記事を書いている私さとは、幼い凸凹ちゃんたちの保護者様向けに情報発信をしているライターです。
息子はASD・ADHDの特性を持つ男子学生で、幼少期からピアノ・音楽教室・ドラム・プログラミング・英会話・スイミング・運動教室・塾など、様々な習い事を経験し、その中で息子に向いていること、好きなことを模索してきました。
現在は、私立中高一貫校に通っており、ピアノやドラム、プログラミングは今も楽しく続けています。
私について詳しくはこちらをご覧ください。
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発達障害を持つ子の習い事選び4つのポイント
ポイント1 「特性<やる気」で何をするか決める
●特性に合った習い事とは?
発達特性のある子は、一般的に集団行動が苦手で、マイペースにできる習い事が向いていると言われます。
例えばスポーツであれば、チームスポーツで高度な協調性やコミュニケーションが要求されるサッカーやバスケットボールより、水泳や陸上のような個人競技の方が向いているということです。
ただ実際には、発達特性があっても健常児と同じサッカーや野球のクラブチームに所属する子も一定数いて、一概には言えないようです。
「その習い事、この子には向いてないんじゃない?」
という場合でも、教室や指導者を選ぶことで、ある程度はカバーできる場合もあります。
ただこれは、あくまで本人に「やりたい」という気持ちがあればの話。
やりたくない上に向かないことは、凸凹に関係なく継続するのが難しいですよね。
●本人の「やりたい」を最優先すべき理由
発達障害のある子は特に、「やりたい」と本人が言ってから習い事を始めるのがおすすめです。
理由は、
- 発達障害のある子は興味の範囲が限定的だったり、健常児よりやりたくない事柄が多い傾向がある
- やりたくないことに対する拒否感が強い子が多い
からです。
音楽系や英語などは、
「小さい頃からやらないと…」
「〇〇歳までしかこの能力は育ちません」
といった情報をよく耳にします。
ですが、発達特性のある子供の場合は「とりあえずやってみようか」というのが難しいので、本人の意思をよく確かめることをおすすめします。
(そもそも「○○歳までに始めないと…」が発達凸凹のある子に当てはまるのか疑わしいです。)
試しにやってみる場合でも、嫌がるようであれば早々に撤退する勇気も必要です。
●我が家の場合
本人の「やりたい」で始めたピアノが今も好き
たくさんの習い事を経験した息子ですが、
結局、長い目で見てうまくいった習い事は、本人の「やりたい」が強い場合
でした。
息子は小学1年生から現在まで個人レッスンでピアノを習っています。
妹や私がピアノを弾く姿を見て、「僕も習いたい」と自分から言い出し、個人レッスンを始めました。
特性上、手先が不器用なので上手ではありませんが、一度もやめたいと言ったことは無く、中学受験で忙しい時も、「息抜きなんだ」と言って、楽しそうにレッスンに通い続けました。
下手でもいいから、音楽が一生の楽しみになってくれたら…と思っています。
2歳で親が始めさせた音楽教室は失敗
実は、それ以前の2歳から1年間、別の大手音楽教室(グループレッスン)に通ったことがありました。
本人の意思とは関係なく、私が誘って通わせました。
音楽教室での息子は、興味の対象が狭いという特性もあり(幼い頃は今よりこの特性が強かったです)、やりたくないことが多く(嫌な曲、嫌なダンス、嫌な楽器がたくさんある)、やりたくないことは全くしないという感じでした。
気に入った曲以外は、教室の隅でうろうろ…。
健常児のお子さんのように、「楽しそうだから、とりあえず参加してみよう」というのがあまりないのです。
最も「暴れん坊」な時期でしたから、他のお子さんや保護者にご迷惑をかけないよう、親はとても気を使いました。
結局、本人が行きたくないと言い始め、そのタイミングで教室をやめました。
今思えば、その教室では息子は音楽が楽しいという様子がなく、得たものはあまり無かったように思います。
結局、2、3歳の乗り気でない息子を、わざわざ音楽教室に通わせる必要は全くなかったな、と今となっては思います。
もし、その頃の私に、言葉をかけられるとしたら…
「そんなに大変な思いをして、通わせなくてもいいよ!」
と絶対に言いますね(笑)。
息子のピアノを通してかわったこと
年齢の違いもありますが、同じ習い事なのに、息子の姿も、私の大変さも、こんなにも違いました。
確かに小学校1年生は、一般的にピアノを始める年齢としてはあまり早くないのかもしれませんが、息子にとっては始めるのに最も良い時期だったのだと思います。
本人の「やりたい」という気持ちが強い場合、環境さえ整えば、特性上はあまり向いていなくても、楽しんで続けていける!
というのが、私が息子の習い事を通して実感したことです。
ポイント2 「どんな教室」かは「保護者の目的」を重視
幼い凸凹子ちゃんは特にその子に合った指導が必要な場合が多いので、
「どういう環境で習うか」というのが、一番熟慮すべき点だと思います。
ただ、子供に合った教室を見つけるのは一苦労ですよね。
他の凸凹ちゃんの親御さんに紹介してもらったり、ネットなどで情報をキャッチできればいいですが、そうでなければ、1つ1つ問い合わせをしなければならず、大変です。
こちらもご参考にしてください↓
●教室の種類
習い事ができる教室の種類についてご紹介します。
の選択肢があります。
以下は、私が息子の習い事を経験する中で、実際に感じた①~③の教室のメリットとデメリットです。
①一般の教室のメリット・デメリット
- メリット 教室数が多い・たくさんの選択肢がある
- デメリット 「発達障害の子供を受け入れてくれるか?」「受け入れてくれたとして、特性に配慮した指導をしてくれるか?」など、実際に問い合わせてみなければわからない場合が多い
②放課後等デイサービスの○○療育のメリット・デメリット
- メリット 特性に応じた指導を期待できる
- デメリット コミュニケーションの向上や身体機能の改善などに主眼があり、習い事としてはあまり上達しない、物足りない場合がある
③障害児向け教室・コースのメリット・デメリット
- メリット 指導者には、障害児向けに指導をするための知識や経験に加えて、(プログラミング教室ならばプログラミングの、音楽なら音楽の)専門分野に対する高度なスキルがあるので理想的
- デメリット 教室の数が少なく、常にキャンセル待ち。料金が高い場合が多い。
●保護者の習い事の目的に優先順位を
どんな教室を選ぶにあたって、保護者の方にはぜひ明確にしておいてほしい点があります。
それは、習い事をさせる目的。
保護者が「どうして習い事をさせたいのか」です。
例えば
などなど…
一つに絞れなくても、できるだけ優先順位をつけてみてください。
習い事は、よい効果が複合的に期待できる場合が多いので、保護者の方はあれもこれも…と期待しがち。
例えば、英会話ならこのような目的が考えられます。
ここで、「コミュニケーションをとること」が最優先の目的なのであれば、他の生徒もいるグループレッスンが最適なのかもしれません。
(今すぐにグループレッスンが難しければ、最初は個人で、もう少し大きくなってから、グループで…という考え方もあります。)
しかし、「英語が話せるようになってほしい」ということであれば、個人レッスンが一番良いのかもしれません。あるいは、オンラインで割り安に回数多くレッスンを受ける…というのも考えられまます。
「自己肯定感のアップ」を狙うのであれば、数字で分かりやすいはっきりした目標を好む凸凹さんには、英検などの明確な達成基準を目指す教室の方が頑張れるかもしれません。
逆に、先生が常に小さな成長を見つけてほめてくれる教室の方が、自己肯定感がアップしやすい子もいるでしょう。
<我が家の場合>
先ほどお話しした、2,3歳の頃に通ってうまくいかなかった音楽教室の話に戻ります。
この教室に通わせるにあたり、私には「音楽に親しむ」という目的と「他の子と一緒に習うことで社会性が身につけば…」という思いがありました。
そのため、健常児も利用する教室のグループレッスンにしたのです。
…が、結局、どちらの目的も達成されないまま終わりました。
今考えてみると、
「音楽に親しむ」という目的なら、個人レッスンで息子の興味に合う楽器や歌を習えば、息子は教室が嫌にならなかったかもしれません。
「社会性を見につける」という目的なら、音楽を楽しみながら、コミュニケーションの課題も扱ってくれる音楽療育がよかったのかなと思います。
目的の優先順位が曖昧であるがゆえに教室選びがうまくいかなかったのです。
ポイント3 優しい先生、よき理解者は必須
凸凹ちゃんの習い事の指導では、
といったことがよく起こります。
そこを叱らないで、褒め育ててくれる。
そんな忍耐強さと優しさが、先生を見つける上での一番のポイントになります。
最近の習い事の先生たちは、優しい方が多いので、見つけるのにはあまり苦労しないかもしれません。
園や学校で、厳しく叱られることが多い子ならなおさら、習い事ではたくさんほめてもらえるといいですね。
レッスンを受ける上で躓きそうなこと、心配なことは、習い事を始める前に先生に伝え、レッスンで子供が困っていることはないか確認できるといいですね。
ポイント4 カリキュラムや教材を柔軟に選べるか
これは、こだわりが強い凸凹ちゃんに当てはまるポイントかもしれません。
勉強系や音楽系など教材がある習い事では、「その教材が嫌」という場合があります。
発達特性のある子は、興味の範囲が限定的だったり、嫌なことはとことんやりたくない、という子がいます。
特に小さいうちは、子供の興味に合わせてカリキュラムや教材を柔軟に変えられる教室の方が、やる気を維持してスムーズに通うことができます。
<我が家の場合>
妹のピアノを弾く姿を見てピアノを始めた息子ですが、妹とは違う教室に通いました。
兄弟を比較しないように…というのもありますが、妹の教室は可愛らしいオリジナル曲・オリジナルテキストを使っており、「子供っぽいこと」を嫌がる息子には合わなかった、というのが教室を別にした理由です。
息子の通った教室では、息子の気に入りそうな曲を先生が選びます。
やることを柔軟に変更できるので、息子にはあっているようです。
英会話教室でも、息子は「この本は幼稚で嫌だ!」と言っていました(幼稚園児なんですけどね。笑)
こういうタイプの子には、教材やカリキュラムの自由度が高い方が合います。
いかがでしたか?
この記事が、習い事選びのお役に立つことがあれば、嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。