<2024年5月更新>
発達障害やグレーゾーンの子について
中学受験をさせたいけど、どんな学校を選べばいいんだろう。
学校を選ぶ際に気を付けるポイントは?
こんな疑問をお持ちの方はいらっしゃいませんか?
この記事をお読みいただけると、
について知って頂くことができます。
このブログの管理人さとは、ASD+ADHDの特性を持つ男子学生の母でライターです。
息子は中学受験をして、現在、私立中高一貫校に通っています。
私自身も中学受験経験者で、塾や家庭教師の講師経験があります。
学校選びのポイント
発達障害、グレーゾーンの子供たちは、どちらかというと得意・不得意がはっきりしていて、「なんでも平均的にできる」というタイプは少ないですね。
中学受験はそんな凸凹のある子供たちにとって、様々な特色を持つ教育環境・教育方針の学校の中から、特性に合った中学校を選択できるという点が大きなメリットと言えるでしょう。
学校を選ぶ際には、どんなことに気を付けて選んでいけばいいのでしょうか。
ポイント1 子供の特性を理解する
小学校までのお子さんの様子をご覧になって、
- 興味のあること、得意なこと
- 学校で困っていること、サポートが必要なこと
- お子さんの好きなタイプのお友達
- これまでうまくいった環境はどのような特徴があったか
について、改めて整理してみましょう。
まずはお子さんに合った教育環境を考え、それに近い中学校を探してみることで、お子さんの特性に合う学校を見つけやすくなります。
①興味があること、得意なこと
例えば…
得意なこと、好きなことを思い切りできる環境があれば、学校に通うことが楽しくなりそうですね。
高校受験のない中高一貫校に入ることができたら、その中でお子さんが思い切りやっていみたいことは、いったい何でしょうか?
②学校で困っていること、サポートが必要なこと
今、学校でお子さんが困っていることは何でしょうか?
サポートが必要なことはありますか?
中学校入学後、個別にサポートをお願いすることで、対応してもらえる場合もありますが、はじめから子供が困りにくい環境を選ぶという考え方もあります。
例えば、「プリントをすぐになくす」「提出物が出せない」ということであれば、配布物や提出物をロイロノートやGoogleClassroomで行える学校、または先生の指導が手厚い、面倒見がよいことで有名な学校を検討してみるのも良いですね。
水泳がどうしても苦手というお子さんには、私立中高一貫校では、プールのない学校もあります。
プールがないというだけでも、夏季の通学が精神的に楽になるかもしれません。
ただ、子供はどんどん成長するので、現在困っていることでも、学年が上がるごとに解消していく場合もあります。
反対に、中学生になると環境が変わって、今とは違うことで困ることが出てくる可能性もあります。
児童精神科医の先生や心理士さん、信頼できる療育の先生が身近にいらっしゃれば、
「うちの子のようなタイプは、中学生になって、どんなことにつまづきそうですか?」
と質問してみるのも良いと思います。
入学後の個別サポートについては、こちらの記事もご覧ください。
③お子さんの好きなタイプの友達
中学受験をすると、大体同じくらいの学力レベルの子が同じ学校に入学します。
中学受験をしない場合より、自分と似たタイプの子に出会える可能性が高くなります。
比較的難関校では、精神的年齢が高く、それぞれの個性を尊重するタイプの子が多い学校もあります。
お子さんが気の合うタイプのお友達はどのような子でしょうか?
④これまでうまくいった環境
これまで、比較的順調に活動ができた環境について整理してみてください。
など、お子さんに合っていた環境について、何が良かったのか考えてみてください。
やりたいこと、勉強の環境、同級生のタイプなど、うまくいきそうな中学校の条件が見えてくるのではないでしょうか。
ポイント2 特性に合った学校を知る
私立中高一貫校のうち、発達障害を持つ子供を積極的に受け入れている学校以外はごく一部です。
それ以外の学校であっても、お子さんの特性に合う学校を選択することで、相応しい環境で学校生活を送ることができます。
どのような学校が合うのかは特性によって様々ですが、比較的よくある特性について相性が良いと言われている学校をご紹介します。
書字が苦手・WISCⅣの処理速度数値が低め(メモを取るのが苦手)
→ICTが進んでいる学校。
書くよりもタブレット学習の方が相性が良い。
提出物を出すのが苦手
→ICTが進んでいる学校。
学校で使っているタブレットからアプリを使って提出物を出すことができるので、提出物の有無や期限が分かりやすい。保護者がチェックしやすい。
→面倒見の良いタイプの学校。
提出物の一覧表を配布。出していなければ声掛けをしてくれる。
スケジュール管理が苦手、自主的に勉強ができない
→勉強のサポートが手厚い学校。
テストまでのスケジュール管理を手伝ってくれたり、テスト前は自習の場を提供。
空気が読めない、協調性がない、集団が苦手
→個性を尊重するタイプの校風。
「こういう子もいるよね。」と、個性の強い生徒にも理解を示し、受け入れる土壌がある。
学校の方針や校風に「個性の尊重」「多様性」などを謳っている学校や、比較的偏差値の高い学校に見受けられる。
突出してできることがあり、一般的な授業では物足りない
→偏差値が高めの進学校。
レベルの高い授業が受けられる。
同じように突出している同級生がいる。英検○○級。数学オリンピック出場など。
他にも、対話型の授業、実験・体験重視型の授業など、私立中高一貫校には様々な特色の学校があります。
<例 我が家近隣の私立中高一貫校>
A中学校 地域トップの難関校。共学で自主性を尊重する自由な校風。
→勉強、運動なんでもこなし、リーダーシップも取れる優等生が多数在籍。勉強が得意な凸凹さんも在籍するが、同級生のすごさに自信がなくなる場合も。いじめが非常に少ない。
B中学校 地域トップの難関校。男子校でレベルの高い授業が受けられる。
→凸凹のある生徒が多数在籍し、それぞれの個性を尊重する校風。校則は比較的厳しい。理数系の生徒が非常に多く、進学実績が良い。
C中学校 最も人気のある中堅校。男子校で自由な校風。部活にも力を入れている。
→部活や友人関係など学生生活を謳歌できるタイプの活発な子が多く、凸凹のある子はからかいの対象になることも。不登校の生徒向けの教室がある。
D中学校 受験者数の多い中堅校。設備が充実。先生の面倒見がよい。
→様々な学力の子がいる。勉強は管理型で、勉強スケジュールなども組んでもらえる。自分で勉強ができるタイプの子には、基本事項の課題が多すぎて、自分に合った勉強がしにくい。
息子の在学校はこの中にはありませんが、調べてみると学校のカラーが見えてきます。
ポイント3 学校の情報を集める
地域の中高一貫校の情報を集めます。
HPや受験雑誌や掲示板にも色々と情報は乗っていますし、在校生の保護者から聞くという手もあります。
ただ、発達凸凹のない子と特性のある子では、必要な情報が違うことも…。
発達特性のある子のための情報は、どうやって集めるのが良いのでしょうか。
専門家の地域情報
こんなとき、意外におすすめなのは、児童精神科医の先生や、ベテランの療育の先生に相談してみること。
色々な凸凹さん達を長く担当してきて、どのような特性の子がどこの私立中学校に行き、どのように学校生活を送っていて…というデータを持っている専門家が結構います。
「この子に似た子が、そこの学校に行っていて…。」という話が聞けたら、ラッキーですね。
早めの学校見学がおすすめ
中学受験の勉強を自発的に続けていくためには、自分で「この学校に何としても合格したい。」と思えることが大切です。
そのために効果があるのは、学校見学にいくこと。
発達特性のあるお子さんは特に、早めに学校見学をすることをおすすめします。
イメージする力の弱い子が比較的多いので、いつまでもピンとこない状態で、合格に対するモチベーションがあがりにくいためです。
早めに上級生の学校生活の様子や授業・部活の様子を見て、「この学校に行きたい」というイメージが持てると、やる気が出やすいですよ。
<我が家の場合>
息子も、学校見学に行ってはじめて志望校が決まり、そこから俄然やる気がアップしました。
塾の欠席はほとんどなくなり、成績が上がっていきました。
受験科目や出願書類の情報を集める
受験を検討している学校の受験科目・出願に必要な書類はどのようになっているでしょうか?
- 国・算・理・社の4科目?
- 通知表や調査書は必要か?
- 作文や面接があるか?
- 適性検査はあるか?
- 専願枠などがあるか?
- 英検など加点事項はあるか?
非常に苦手なことが含まれる場合、その学校は回避して、得意なことで受験できる学校を探すという考え方もあります。
また、志望校間の科目が異なる場合、取り組まなければならない事柄が多くなるので、事前によく検討する必要がありそうです。
例えば、
- 第1志望は4科目受験
- 第2志望は2科目受験と適性試験
- 第3志望は2科目受験と作文・面接
という場合、4科目の勉強に加えて、適性試験の勉強と作文・面接対策が必要になります。
適性試験や作文・面接が得意、という場合はそのままで良いのですが、苦手で学習時間がかかりそうな場合は、志望校の優先順位を考えて、①受験校を変える、②作文や面接は最低限の勉強で…と割り切る、など工夫が必要です。
通知表(調査書)をどの程度見ているか
凸凹さん達は学力のわりに通知表の評価があまり良くないという場合があります。
忘れ物が多い、授業態度で低い評価がついてしまうなど、通知表(調査票)を出願の際の書類として提出する学校では、不利になるのではないかと心配な方がいらっしゃるかもしれません。
通知表や調査票は、それぞれの学校によって考慮する点や考慮する度合いが違います。
提出が必要な学校であっても、「欠席数」や「所見」以外はほとんど考慮しないという学校も多いそうです。
心配な場合には、学校説明会などで調査書がどの程度考慮されるのか質問してみましょう。
中学受験と支援級の通知表
支援級在籍の場合、通知表は言葉での評価になるので、通常学級と同じような段階別評価ではありません。
出願に通知表(調査書)の提出が必要な中学校を受験する場合、どうすればよいのでしょうか?
- 通知表・調査書の提出のある中学校を避ける
- 段階別評価がある通知表で評価しなおしてもらう
- 通常学級に転籍する
という方法が考えられると思います。
自治体によっては、通知表を段階別評価に評価しなおしてくれるところもあるそうなので、問い合わせてみましょう。
ただし、通常学級のカリキュラム・評価基準で評価しなおすので、お子さんの勉強内容・進度によっては、成績の内容が低く評価されてしまう場合があります。
そこで中学受験を見据えて高学年から、通常学級に転籍するお子さんも一定数いるようです。
その場合、中学受験の勉強に加えて、通常学級に転籍して学校での環境が大きくに変わるので、お子さんの負担が大きくなることに注意が必要です。
いかがでしたか?
この記事が、お子さんに合った学校を選ぶ際の参考になれば、とても嬉しいです。
中学受験についての記事は、他にもありますので是非ご覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。