<2024年2月更新>
ここ数年、中学受験者数が増加傾向にありますが、発達特性・グレーゾーンのお子さんのご家庭でも、自分に合う教育環境を求めて中学受験を検討されるケースがそう増えているそうです。
今回は、発達障害を持つ子と中学受験についてのお話。
この記事を読んでいただけると、
グレーゾーンや診断の有無には関わらず、読んでいただくことができる内容です。
この記事をお届けする私さとは、ASD+ADHDの特性を持つ男子学生の母です。
息子は中学受験をして、現在、私立中高一貫校に通っています。
私自身も中学受験経験者で、塾や家庭教師の講師経験があります。
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凸凹さんの中学受験については、こんな記事も書いています。
【発達障害&ギフテッド2Eと中学受験】メリット
メリット1 特性に合った学校を選べる
発達凸凹さんたちは、その特性によって得意・不得意が様々です。
画一的な日本の公教育には合わない子が多いと言われています。
その点、特に私立中学校を受験する場合には、
・様々な特色を持つ教育環境・教育方針の学校がある
・特性に合った中学校を自分で選択できる
という点がとても大きなメリットと言えるのではないでしょうか。
一般的に相性が良いタイプの学校
あくまで子供の特性によりますが、一般的に発達凸凹さんと相性が良いのは、以下のような学校だと言われています。
・ICT教育が進んでいる
(書字や処理速度の問題から、書くよりタブレット学習の方が相性の良い子が多い。)
・少人数制
(その子に合った指導・支援をしてもらえる可能性が高まる。いじめなどにも目が届きやすい。)
・個性を尊重する校風
(「こういう子もいるよね。」と、自分とは異なるタイプの生徒にも理解を示し、受け入れる土壌がある。)
特性によっては相性が良いタイプの学校
子供の特性によっては得意を生かせる学校の特徴として、次のようなタイプの学校があります。
・英語教育・短期留学制度が充実(英語が得意な場合)
・対話重視の授業
・高いレベルの授業を展開(高IQ・ギフテッド児は、一般的な授業では物足りなかったり、先生が自分の疑問に答えてくれなかったりする。)
・実験・体験型授業を重視
・自由な校風(勉強の課題が少ない。校則がゆるい。)
ただし、最後の「自由な校風」については、注意が必要です。
意外と進学校にも多い「自由な校風」の学校ですが、色々な面で自主性を重んじるので、勉強について面倒見がよいとは言えない側面もあります。
「みんなのレベルに合わせるより、自分に合った勉強を自分のペースでやりたい。」という子には合うのですが、学校からしっかり課題が出る方が勉強できるというタイプの子もいますね。
自主性に任せる学校か、面倒見がよく課題がしっかり出る学校か、お子さんに合う学校を見極める必要がありそうです。
メリット2 IQが同程度、個性が似ている仲間が見つかる可能性UP
発達凸凹さん達は「同級生と話が合わない。」「同級生が子供っぽく感じる。」と同級生に違和感を覚える場合があります。
好きなものや趣味が同年代の子と比較してマニアックだったり、大人っぽかったりして、話が合う友達を見つけるのに苦労することがあります。
同じ試験を受けて合格したメンバーであれば、学力レベルがある程度確保されるので、同程度のIQや学力の仲間が見つかりやすいです。
特に難関校では、特性がある子やマニアックな子の割合が多く、「個性的な少し変わった子」を受け入れる土壌がある、というのも、凸凹さんたちの保護者が中学受験を検討される理由になっています。
メリット3 高校受験がなければ、やりたいことがじっくりできる
凸凹さん達は、「高校受験の際、内申点で不利になるのではないか」という心配の声を耳にします。
・提出物が出せない
・どうしても苦手な科目がある
・欠席数が多い
など、たとえテストの点数が良い場合でも、成績評価が低くなってしまうという話はよく聞きますね。
中学受験をして、中高一貫校に入ってしまえば、そこからは内申書や受験を気にせず、自分のやりたいことや部活に夢中になれます。
自分自身とじっくり向き合い、充実した中学校生活を送ることができる、というのは凸凹さんにとって魅力的ですね。
メリット4 小学校までの人間関係をリセットできる
小学校の間にいじめや人間関係でしんどい思いをした凸凹さんには、大きな意味を持つのではないでしょうか。
心機一転、小学校の同級生があまりいない環境に身を置くことができると、良い転機になります。
【発達障害&ギフテッド2Eと中学受験】デメリット
デメリット1 受験勉強が合わない場合がある
中学受験は以上のようなことを要求される傾向があるので、このような点が発達特性のある子にとって不利になる可能性があります。
また、中学受験は「早熟で何でもそつなくこなせるタイプが向いている」と言われており、凸凹さん達には合わない面もあるかもしれません。
ただ、受験勉強に行き詰っても、その都度塾の先生に相談したり、親子で色々な工夫をすることで乗り越えられる場合が多いのも事実です。
中学受験を経験することで、子供が壁を乗り越えて、大きく成長を遂げることもあります。
<我が家では…>
息子の場合、処理速度があまり早くないので、テストの時間配分には苦労しました。
また、算数で決まった解法があるのに、「自分が良いと思う解法」で解いてしまうことが頻発したので、その都度話し合い、塾の解法の方が早く正確に解ける場合には修正するように繰り返し言い聞かせました。
何か躓きがあれば、一つ一つ親や塾の先生、家庭教師の先生などの身近な大人がフォローする必要があります。
デメリット2 特性に合った学校に入学できるとは限らない
メリット1では、「自分の特性に合った学校を選べる」ということをお伝えしましたが、試験を受けて入学する以上、特性に合う学校を選んで受験しても、入学できるとは限らない、という現実もあります。
中学受験生が第1志望の学校に入ることができる可能性は3割程度だと言われています。
志望校が難関校であれば尚更、目指している学校に入れるとは限らない、ということも頭に入れておかなければなりません。
また、どんなに下調べをしっかりして受験・入学しても、「実際に通ってみると学校が合わない」という可能性も考えられます。
そういったことを考慮に入れつつ、「もしどうしても合わなかったときは、転校・高校受験をすればいい」という心構えを持つことも必要かもしれません。
デメリット3 経済的負担・通学時間が増える
発達特性には関係ない点ですが、経済的負担は保護者も含めた大きな負担になりえます。
通学時間は特に片道1時間を超える場合は子供の負担が大きく、通学が億劫になる原因になると言われていますので、注意が必要です。
デメリット4 支援を受けられない可能性
公立の中学校に通えば、支援級や通級指導による支援が受けられますが、中学受験の末に入学する学校の大半は、そういった支援制度がありません。
ただ、学校によっては、個々の生徒に対し個別に支援をしてくれる学校もありますし、不登校の生徒が
別室登校できるよう教室や教員を配置している学校もあり、対応は様々です。
個別に情報を集めたり、問い合わせをして、お子さんに合った学校を探してみましょう。
いかがだったでしょうか?
我が家は息子が自分から中学受験をしたいと言い出したので、チャレンジすることが前提でしたが、ご検討中の方のお役に立つことができたら嬉しいです。
こちらも中学受験についての記事です。
どんな塾が良いのか、おすすめの勉強法などについて書きました。是非お読みください。
最後までお読みいただきありがとうございました。